ハタイクリニックで【本格】パンチャカルマ体験記④「バスティ」

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アーユルヴェーダの浄化療法であるパンチャカルマ。

このブログでは、私が数年前に、東京目黒区のハタイクリニックで通院型のパンチャカルマ(ヴィレーチャナ、バスティ)を受けた話を5回に分けてまとめています。

第1話 「カウンセリングとアーマパーチャナ」はこちら
第2話 「スネーハパーナと発汗法」はこちら
第3話 「ヴィレーチャナ」はこちら
》第4話 「バスティ」
第5話 「後処置」はこちら

今回は第4話
自宅での壮絶なヴィレーチャナが終わり、身体を立て直しつつ、クリニックでの「バスティ」が始まります。

昔のキタガワ
昔のキタガワ

ヴィレーチャナつらすぎた…
次はバスティか。小浣腸(油剤浣腸)と大浣腸(煎じ液浣腸)があるらしいけど、どんなだろう。なんか大浣腸は大変って聞いたんだけど…

バスティとは浣腸のこと。
パンチャカルマのバスティは通常、油剤を注入する「マートラ・バスティ(小浣腸)」と煎じ液を注入する「ニルーハ・バスティ(大浣腸)」を交互に繰り返します。これにより主にヴァータを浄化しつつ、油剤により身体を養います。

キタガワ
キタガワ

ヴィレーチャナでピッタを出して、次はバスティでヴァータを出すんだね!

それではまた、当時の日記をご覧ください。

今回の治療経過はあくまで個人的なものであり、他の方も同じ経過をたどるとは限りません。体質や年齢、季節、抱えている症状によって治療方法やその際の身体の反応は変わります。こんなケースもあるんだ、と参考程度に受け止めていただき、ご自身の治療に関しては、その都度担当医師の指示に従ってください。

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7月14日(月) バスティ1日目:マートラバスティ、アビヤンガ

7月14日(月) はれ 45.5kg

よく眠れた。お腹すいてるけど胃あれって感じ。もたれてるよりあれてる。今日は油バスティ。11時40分に入れ、13時40分にトイレで油でた。昼食食べすぎ?やっぱり胃あれ。立ちくらみはほぼなくしゃがんだり立ったりもできる。ごはんパワーすごい!昼、夜ちょっと食べすぎ?満腹と腹八分がよくわからない。19時頃からガス出はじめた。油もよく出る。ヴァータが出てるのか?またスーパーでチョコ買う。その他いろいろ買っちゃう。モノへの執着か。冷蔵庫が食べ物でパンパン。

7:00 起床
8:00 白米1杯、玉ねぎみそ汁、キャベツ・ピーマン・ズッキーニのギー炒め、梅干し、のり
13:00 白米1杯、ケンニプ、なすのみそ汁、コフタ、メロン
18:30 白米軽く1杯、ベジミートそぼろ、ズッキーニなす炒め、ししとう甘辛炒め、湯豆腐、油揚げポン酢、枝豆、トマト
23:00 就寝

マートラバスティは「空腹でも満腹でもない状態」で受けます。そして施術後は普通の食事(制限は同じ)を腹八分とることができました。

はじめてのマートラバスティは問題なく終了。アビヤンガと発汗の後にベッドに横向きに寝ます。看護師さんが直腸にオイルを入れてくれます(正確な量はわかりませんがおそらく60ccくらい)。その後シャワーを浴びて帰宅。油剤浣腸は痛くもないし、入れた後はまったく違和感を感じませんでした。不意にオイルが出てきて服が汚れなように、しばらくナプキンを当てて過ごしました。

7月15日(火) バスティ2日目:ニルーハバスティ、アビヤンガ

7月15日(火) 晴れ 46.4kg 仕事

やっぱり朝から食べすぎ。むずかしい。11時から空腹&脱力。やっぱり食べすぎ?夕方やっと帰宅、とにかくぐったり、なんか食べたい。15時15分からアビヤンガと煎じ液バスティ。すごーくお腹痛いし気持ち悪かった。つらかったー。もう1回あると思うと憂鬱。お腹痛い時にもらった重湯美味しかったー。今日は先生の診察があった。ヴィレーチャナは成功、粘液が出たのは腸内細菌がこそげ落ちたのだそう。しゃがむのがつらかったのは便が全部出たから(そういえば便は身体を支える働きがあるって学校で習った!)。今朝9時頃にもオイルが出たと言ったら、長く留まっているのは良いことと言われる。ドーシャが落ち着くのは、後処置もすべて終わった後のことで、今は怒りっぽいのは仕方ないと。たしかにイライラする。ごはん美味しいけれどヴィレーチャナでアグニが弱っているのでゆっくりと薪をくべていかないとダメと言われ、夕食は最後の一口我慢した。ヴィレーチャナで腸内細菌が一度なくなり、本来のものが育ってくるので、今まで食べられていたものが消化できたりできなかったり、好みも変わるらしい。たしかに、豆腐が食べたい。

6:00 起床
7:10 白米1杯、ベジミートそぼろ、大根と玉ねぎのみそ汁、メロン
(午後ニルーハのため昼食抜き)
18:40 白米2/3杯、コフタ、豆腐の照焼き、チンゲン菜中華炒め
22:00 就寝

はじめてのニルーハバスティは大変でした。

ニルーハバスティは空腹で受けます。アビヤンガと発汗の後、マートラバスティと同じように横になります。その状態で看護師さんが処方された煎じ液を直腸に入れてくれます(こちらも正確な量はわかりませんが500cc前後入れてると思われます。昨日のオイルよりは確実に多いです、容器が明らかに大きかった)。

液を入れている最中から、もう出そう。全部入れ終わった瞬間トイレに行きたい。でも横になったまま2分我慢しなければいけません。お腹は痛いし、液は出そうだし、気持ち悪くなってくるし。セラピストさんが手のひらとか足の裏をペチペチと叩いてくれて(ペチペチすると気を失うのを防げるらしい)、2分間必死で耐えました。2分たったら速攻でトイレへ。ドドドーっと排泄。ヴィレーチャナであんなに出したのに、どこにこんなに入ってたの!?というくらい。その後しばらくお腹がしぶってつらい!後から聞いたら、15分程しぶっていたらしいけど、もっと長く感じました。少しおさまってベッドに戻ると重湯をくれました。「これ飲むと痛いの少しおさまるよ。」と。重湯を飲んでもまだお腹が痛い。セラピストさんが「長引いてるね」と言っていた。横になり、お腹に温かいものをのせて少し休んでいたらやっと落ち着き、シャワーを浴びて帰宅しました。

キタガワ
キタガワ

2分間が信じられなくらい長く感じた…ヴィレーチャナとはまた別のつらさ。これがあと1回あると思うと憂鬱でした。

7月16日(水) バスティ3日目:マートラバスティ、アビヤンガ

7月16日(水) 晴れ 46.3kg

だるくはないけどまた起きれず。お腹は痛くない。ガス時々出る。昨日バスティで大量に出したから体重増えず。それにしてもごはんがおいしい、豆腐もおいしい!少なめに作ったつもりでも、やっぱり多いかも。お腹いっぱい。今日のバスティはマートラだから余裕。11時に入れて13時半に出た。元気だから梅干しの赤しそと生姜の佃煮を仕込む。夜、子どもと祐天寺のお祭りへ。お腹すいて18時に急いで夕飯食べすぐ出発。なんだか落ち着かず、軽い胃もたれ。食べた後すぐ動くのって本当によくないとわかる。そして喉も渇く。白湯がおいしい。それにしてもとにかくイライラする。イライラがとまらない!食事についてはよくわかっていなかったので今日の診察で先生に相談。結局は消化力に合わせて食べるんだけど、空腹のままは良くないので、私の場合、3食でしっかり食べようとすると胃が小さくてもたれるから、1回は少量で、4回食べるとかしたほうがいいと言われた。たしかにそうかも。仕事にも一口おにぎり持っていこうと思う。7時、10時、14時、18時くらいがちょうどいいのかな?現在22時45分、お腹すいてきたし、明日は恐怖のニルーハバスティだから早く寝ようかな…。ちなみに1回目のニルーハバスティけっこうお腹痛かったのは、健康そうに見えてドーシャがたくさんあったかららしい。回数を重ねると痛くなくなってくるんだって、おそるべし、ドーシャ。やはり病素なのね。

6:40 起床
7:30 白米2/3杯、ひじきと塩豆腐のオリーブオイル炒め、チンゲン菜みそ汁
13:00 五分づき米、カレー、高野豆腐カツ、ピクルス、すまし汁、おひたし
18:00 梅しょうがごはん1杯、しょうが佃煮、ワカメ佃煮、ひじきと塩豆腐のオリーブオイル炒め
18:40 わたあめ少し

キタガワ
キタガワ

食事は普通に食べているように見えますが、定食一人前の半量くらいしか食べていません。胃が小さくなっているのか、すぐお腹がいっぱいになってしまいます。この時点でもまだ「空腹」「満腹」が曖昧で、食べすぎて治療が台無しになることへの恐怖心もあり、早い段階で「満腹認定」していた気もします。

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7月17日(木) バスティ4日目:ニルーハバスティ、アビヤンガ

7月17日(木) くもりのち晴れ 46.7kg

夜更かししたら起きれない。朝顔パンパン、少しだるい。舌苔もある。今日はニルーハなので空腹でハタイへ。アビヤンガ、足の裏が一部痛いけど、他は痛くも痒くもない。かなりほぐれた。ニルーハバスティ、液全部入ってからすぐ痛み。でも2分我慢できた。前回よりかなりいい。出る痛みも、前回よりすぐに終わった。休憩せずそのままシャワー、そしたらお腹痛くなりもう一度排泄。少しお腹にガスが溜まってる感じしたけど少ししたら落ち着いた。昼食ちょっと食べすぎ?でも食後しばらく座ってたら胃もたれなし。夜もちょっと食べすぎ??それにしてもとにかくイライラ。話しかけられるだけでイライラ。ほっといてほしい。ハタイで知人に会い、痩せた、表情が優しくなったと言われる。たしかに肌はしっとり。毛穴も小さくなってきた。あごのニキビはまだある。

7:30 起床
(午前ニルーハのため朝食抜き)
13:10 白米、ワカメとしょうが佃煮、豆腐甘辛炒め、ひじき・人参・インゲン・カシューナッツ炒め、チンゲン菜みそ汁、
18:00 白米1杯、ニンニクの芽・ピーマン・ベジミート炒め、おからもち、焼きズッキーニ、トマト玉ねぎサラダ、チンゲン菜玉ねぎ人参みそ汁
22:30 就寝

キタガワ
キタガワ

恐れていたニルーハバスティは前回に比べれば軽くすみました。回を重ねると痛みがなくなってくるのは本当のようです。それでも2分間はお腹が痛いし、出る時も少ししぶりました。

最初足の裏、ふくらはぎ、腰、背中をグリグリゴシゴシされ悶絶していたアビヤンガも、この頃になるとほぐれてきたのかだいぶ平気になりました。ほぼ裸で受ける施術も慣れたものです。

7月18日(金) バスティ5日目:マートラバスティ、アビヤンガ

7月18日(金) くもり 46.6kg

寝つきが悪く、朝も眠かったけど頑張って起きた。昨夜22時過ぎ、布団入ってからガスがよく出た。今朝も何度も。ヴァータが出てるのかな。胃は昨夜食べすぎ?なのか少し張っているような??今日は12時45分からハタイなのでご飯の時間が微妙。帰宅後15時40分にメロン3/4玉食べる。なかなか消化しない。しかもメロンのせいかわかんないけどオイルも出ず、お腹の中でゴロゴロいってるだけ。19時15分、やっと出たい感じして出る。19時半からガスが出はじめた。20時かなり大きなガスが2回でてスッキリ。ヴィレーチャナでピッタとカパを出したから、2週間はヴァータが反乱状態らしい。たしかに眠くない!それにしても、パンチャカルマ前は3回の食事がこんな楽しみじゃなくて、朝→仕事でお腹すいちゃうから食べる、昼→外食でがっつり、胃パンパン、夜→子どもと一緒に、お腹すいてないけど寝るまでにはすいちゃうから食べとく、って感じで、この他にも甘いものたくさん食べたり、家に居づらい時に外に出て、お腹すいてないのに居場所確保のためにお茶とケーキ注文したり、めちゃくちゃなことをずっとしていたと気づいた。そりゃ胃もたれするし、アーマもできてだるくなるはず。何をするわけじゃないけど、こうやって3食美味しく食べれるのって本当に幸せなことだなーと実感。寝る、食べる、出す、結局この3つは大切。

6:10 起床
7:40 白米1杯、豆腐とひじきの温マリネ、茗荷みそ汁、しょうがワカメ佃煮
11:40 白米1杯、塩麹豆腐、しょうが佃煮、ひじきと茗荷のみそ汁
15:40 メロン3/4玉
19:00 白米1杯、しょうが佃煮、焼きがんも、野菜炒め、ワカメみそ汁、豆腐白玉
23:30 就寝


この日、明日からの食事療法の指示をもらいました。
もらった指示はこちら。

用意するもの
・ココナッツウォーター
・ギー
・ハチミツ
・低温殺菌牛乳

サラスワタ・チュールナ
1.5gmの粉末にギー小さじ1とハチミツ小さじ半分を一緒に混ぜて食後に服用1日2回(朝夕)

ゴークシュラ・チュールナ
利尿・精力向上・ヴァータ鎮静・増肥効果
1.5gmを1日2回食前(朝夕)にココナツウォーターと一緒にとる。

クシーラバラタイラ101
50mlのホットミルクに2滴垂らして、夜寝る前に飲む。

以上を1ヶ月

食事は1回量を少なくしてお腹が空いたたびに食べる。1日4食になってもいい。早く寝る。アーマ減少とピッタとカパドーシャがヴィレーチャナによって排泄されたので、ヴァータの働きが顕著になっている、一時的にドーシャの反乱的な症状があるが2週間以内に緩和されるので心配ない。今後は良いダートゥを作るための内服をはじめて、1ヶ月で食べたもので胃が痛くなったり、だるさが取れて意欲が回復する。

キタガワ
キタガワ

指示書をもとにココナッツウォーターや低温殺菌牛乳など準備し、明日からの食事療法に備えました。

7月19日(土) バスティ6日目:マートラバスティ、アビヤンガ 最終日

7月19日(土) くもり 47.4kg 仕事

昨夜もずっと寝れず、明け方悪夢で一度目がさめる。昨日のアビヤンガ中から両肩が重い。朝起きるのつらく、6時まで起きれず(目覚ましは5時半)。朝、まだオイルでる。本日最後のバスティが終わり、疲れてタクシーで帰宅。これから3ヶ月、最低でも1ヶ月は食べ物に注意しないと、なんでも吸収してしまうらしい。肉魚、ジャガイモ、ネバネバ、小麦などNG。じゃがいもと小麦NGなのは不便だなー。親に電話したら「えー、やだー、めんどくさーい、なんも食べれないじゃん、ムリムリ」と言われ本当に腹が立つ。イライラしてマカロン食べて反省。先生に昨日ガスがいっぱい出たというと「キタガワさんはすごい!ドーシャがいっぱいなんだね。」と。今まで高校から10年以上不摂生してるからね…。夜チャイ飲んだらお腹パンパン&グルグル。ガスが溜まってる。ヴァータの反乱のせいかなー。「白いハンカチは汚れが目立つ」状態なんだって。冷えに注意と言われる。

6:05 起床
7:10 梅しょうがご飯、ししとう味噌、ワカメみそ汁、ぬか漬け、豆腐揚げ焼き
12:00 ココナッツウォーター
15:30 梅しょうがご飯、佃煮、レタスと豆腐ののり炒め、ミョウガみそ汁、のり、マカロン1個
21:20 チャイ
22:30 就寝

何度も言っていますが、パンチャカルマはここからの食事療法がとても大切になります。アーマパーチャナでアーマ(汚れ)を乾かし、ギー飲みと発汗法でその汚れを浮かせて胃腸に集め、ヴィレーチャナとバスティで根こそぎ体外へと出したのが今の状態。身体は消耗しています。ここから消化力に合わせた適量の食事、処方されたサプリメント、規則正しい生活をすることで、質のいいダートゥ(身体の組織)を作り、それによりはじめて「健康」を手に入れることができます。質のいい材料で丁寧に家を建て直していく感じです。ここでいっきに暴飲暴食や不規則な生活に戻してしまうと、質の悪い材料で適当に組み立てることになり、欠陥住宅が出来上がってしまいます。

キタガワ
キタガワ

あと3ヶ月…最低でも1ヶ月は食事制限ありとここではじめて聞き、正直「えーーーーっ、そんなに!?」と思いました。サプリ飲むだけかなとか思っちゃってました。でもここまでつらい治療に耐えたのに、それが水の泡になると思うと、頑張るしかありません。

こうして当初予定されていた3週間のパンチャカルマ計画は、無事終了しました。本やインターネットで得ていた情報とは全然違って驚くことがたくさんありました。でも、長年の不摂生でたくさんの不調を抱え込んでいた身体を浄化しようとすると、これくらい過酷な治療になるんだなと感じました。当時アーユルヴェーダの学校に通っていて少しだけ知識はあったので、自分の体に起きていることを分析しながら進んでいけたことはすごくよかったです。

当初思っていたような「下剤かけてスッキリ!」とは程遠い身体で、ここから後処置に入ります。次回の受診は1ヶ月後。自宅での孤独な食事療法がまた始まります。

》第5話に続く

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