【助産師の開業③】助産師として、地域で働く。施設探しスタート

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施設勤務をやめて、地域で働きたい。
そう思ってはいたものの、いったいなにをどうすればいいのかまったくわからなくて動けずにいた私。

キタガワ
キタガワ

出張専門開業を経て
現在は施設あり分娩なしの助産院を営んでいます!

ここに至るまでには紆余曲折ありました。助産院の開業は、とにかく情報がない。

過去の私のように、開業したいけどどうしたらいいのかと考えている人のお役に立てればと思い、私の辿ってきた道をここに書き残すことにしました。

このブログでは、私が出張専門開業から、施設あり分娩なし開業をするまでの経過を6話にまとめています。

これはあくまで私の体験談なので、他の方法もたくさんあるとは思いますが、こんな方法もあるのか、という感じでご覧いただけると幸いです。

第1話 「出張専門(分娩なし)開業について」はこちら
第2話 「助産師賠償責任保険の加入について」はこちら
》第3話 「施設探しについて」
第4話 「入居から内装完成まで」はこちら
第5話 「開業届提出から立入検査まで」はこちら
第6話 「ホームページ作成など」はこちら

今回は第3話

保険探しに四苦八苦したものの無事加入し、出張専門開業で自治体の産後ケア訪問型事業に従事することができました。憧れていた開業が、ついに実現したことになります。

その後出張で産後の親子に関わるうちに、徐々に自分の施設を持ちたいと考えるようになっていきます。施設を持つためにどんな行動をしていたのか、どうぞご覧ください。

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施設を探し始めるまで

保健所での妊婦面接と、出張専門開業で自治体の産後ケア訪問型事業に従事していた私。その後妊婦面接を辞め、念願の新生児訪問を始めることができました。そのほかに自治体の乳児健診・3歳児健診にも参加し、地域で親子がどのように支えられているのかをさらに知ることになります。

この頃から、「出張で自宅に行くだけではなく、自分で施設を構えたい」と思うようになりました。
なぜかというと、私自身が「自宅が落ち着かないタイプ」だったから。我が家は夫が不規則な仕事で家にいたりいなかったり予定が読めず、家も広くないので、話し声は筒抜け。そんな環境で、人を呼んで自分の悩みを話すことなど、到底考えられませんでした。

私と同じように、自宅ではなくて、助産院に来て相談したい人がいるはず。そんな場所を自分が作るんだ、と思いました。

施設探し開始→挫折

そんなこんなで施設探しスタート。

施設ありの開業をする場合、毎月の家賃がいくらかかるのかは、とても大きな問題です。開業した人に話を聞くと、「たまたま空き家を貸してくれる方と繋がることができて、無償で貸していただいています」という話をチラホラ聞いていたのですが、人付き合いが少なく知り合いのいない私にそんなご縁は巡ってきそうにありませんでした。

施設を借りるということは、毎月家賃が発生するということで、自分の身の丈にあった部屋を探さないと、赤字続きで大変なことになってしまいます。子どもの予定に対応できるよう通勤などに時間をかけたくなたったため、自宅近くで探すことにしました。家賃の予算は大体10万円(この地域の1R 〜1Kの相場は9.8万円)。

そんなときに、倉庫を改造したようなシェアオフィス(?)を見つけます。

それぞれの部屋は狭いですが、ベッドと椅子を置くスペースはあり、賃料はひと月5〜6万円ほど。授乳相談、育児相談、抱っこ紐の練習なら、このスペースで十分。しかもその建物には、カフェもあり、整体院もあり、服屋さんもあり、お花屋さんもあり、助産院に来たついでにくつろいで帰ることもできる!

内見して、もうここに決めよう!と思いました。

調べたところ、施設ありの開業をするためには、事前にその施設が助産院に適しているか、保健所の確認が必要とのこと。さっそく保健所に図面を持っていきました。

保健所の返答は「この施設はダメ」。

えーーーーーー!!!なんで!!??

まず一つは、プライバシーの問題。その施設は四方に壁がありそれぞれの部屋は一応区切られているものの、天井から数十センチは筒抜けで、全空間がつながっています。これがプライバシー的にNG。

あとは、室内に手洗い場がないこと。共有スペースには手洗い場があるものの、私が借りるお部屋の中には水道がなく、それではダメなのだそうです。

この部屋をとても気に入っていた私は少し食い下がったのですが、この施設で「助産院」を名乗り仕事をすることは医療法違反になるとのこと。それは困ります。違法なことはしたくありません。

違法にならないように「助産師としての行為を行わない」という選択肢もありました。たとえば、だっこ紐の使い方だけを教えるとか。でも私は絶対に「乳房ケア」をやりたかった。胸が痛かったり、授乳がうまくいかなくて悩んでいる人に安心してケアを受けてもらいたくて開業するのに、それができないなら意味がない。

せっかくいいお部屋見つけたのに…

でも仕方ない。

しっかり空間が仕切られていて、手洗い場があることろ。そうなると、マンションなどの一室を借りるしかなく、不動産屋さんへ相談することに決めました。

不動産屋巡り、部屋探し難航

気を取り直し、物件探し再開です。近所の不動産屋さんをいくつか回ります。

私は一人暮らしをしたことがなく、よって、不動産屋さんを訪れるのもはじめて。部屋を借りたことすらないのに、助産院用の物件を借りるなんて、ものすごいチャレンジです。

助産院で不特定多数の人が出入りする場合、「店舗可」の物件を借りなければならないことを教わりました。そして、私の提示した条件(この近辺で家賃10万円ほどで店舗可)の物件は今のことろないですね、という返事。もう、はなっから無理という感じで、ないものはない、そんな感じの対応でした。物件が出てきたら連絡しますと言われたけれど、結局その後連絡が入ることはありませんでした。そんな不動産屋さんが2件。

別の不動産屋さんは、「ひとつちょうどいい物件があります!」ということで内見に行きましたが、細くて長ーい急な階段をのぼった2階のお部屋で、ベビーカーで来た人とか、赤ちゃんを抱っこした人には大変な場所だと思い断念。親切な不動産屋さんだったけど、他に紹介できそうな物件はないとのことで終了。

こんなんで部屋なんて見つかるのかな…不安な気持ちを抱えつつ、あきらめきれない私は、ネットで近所の物件検索を続けました。

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親切な不動産屋さんとの出会い、物件見つかる

部屋を探しはじめて2ヶ月ほど経ち、あらたな不動産屋さんに飛び込みで入りました。事情を話したところ、親身に相談に乗ってくれて、4つのお部屋を提示してくれました。その場でそれぞれの物件に問い合わせもしてくれて、私の営業スタイルで部屋を使っていいかどうか、確認してくれます。

今まであまり相手にされなかったり、親切だけど物件が出てこなかったりしていたから、この対応にはとても感激。こんな親身になってくれる人いるんだ!

そこから、その不動産屋さんのサイトを毎日見て、気になる部屋があれば問い合わせ。使用許可が出た部屋を内見。「店舗」で探すとあまり出てこないですが、「soho可」とか「事務所可」とかでも、問い合わせたら助産院営業の許可が出る物件があったので、色々探してみるといいと思います。

いままでより物件探しに希望が見えてきたものの、予算内で助産院として使える物件はそう多くはありません。せっかく許可が出ても、階段を何段か登らないと部屋にたどり着けないとか、ワンフロアににたくさんの部屋が並んでいて赤ちゃんの泣き声が廊下いっぱいに響き渡ってしまいそうとか、「これだ!」と思える物件にはなかなか出会えずにいました。

そんな日々が2ヶ月続いたある日、「駅の近くで助産院OKの物件が出ました!」との連絡が。翌日すぐに内見に行き、借りることができたのが今のお部屋です。5階建てのマンションで、小さいながらにエレベーターがついており、ワンフロアに部屋は2つ。部屋の真下は店舗で、4階にも事務所が入っており、外は商店街。これなら赤ちゃんが泣いてもそんなに気にならなさそう。

内見のときの写真

保健所にすぐに図面を持っていき、この部屋ならOKとの返答をもらうことができました。よかった〜

私の希望を聞いて、常にアンテナをたて、物件が出てきたタイミングですぐに連絡をくれた親切な不動産屋さん。今も不動産屋さんの前を通るたびに、ありがとうございますと心の中で手を合わせています。

賃貸契約手続き

さて、部屋が決まったら早々に契約の手続きをしなければなりません。契約書以外に、現在の貯金額がわかる資料と、職務経歴書、事業計画書の提出を求められました。貯金額と職務経歴書はいいとして、事業計画書…?(長年のアルバイト生活で貯金額も少なくなっていたので、これで断られたらどうしようと緊張しました^^;)

事業計画書なんて考えたこともなかったけれど、店舗を借りて事業を開始するということは、そういう計画が必要なのか。現実を突きつけられ一瞬ひるんだけれど、やるしかないのでネット検索を繰り返し、みようみまねで事業計画書を作成し提出。

これが2021年3月中旬のできことです。

助産院を開きたいとずっと思っていたはずなのに、この時点ではまだ、どういうメニューを提供するかとか、助産院の名前とか、何も決まっていませんでした。しかし入居日は4月1日に決定。部屋が決まってうれしい反面、4月からは毎月家賃が発生してしまうというおそろしさ。はやく助産院を完成させないと、収入もないのに家賃だけがかかり、大変なことになります。怖い!急がなきゃ!

ここから、寝る間も惜しんで、助産院開院に向けた準備を進めることになりました。

第4話へ続く

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