施設勤務をやめて、地域で働きたい。
そう思ってはいたものの、いったいなにをどうすればいいのかまったくわからなくて動けずにいた私。
出張専門開業を経て
現在は施設あり分娩なしの助産院を営んでいます!
ここに至るまでには紆余曲折ありました。助産院の開業は、とにかく情報がない。
過去の私のように、開業したいけどどうしたらいいのかと考えている人のお役に立てればと思い、私の辿ってきた道をここに書き残すことにしました。
このブログでは、私が出張専門開業から、施設あり分娩なし開業をするまでの経過を6話にまとめています。
これはあくまで私の体験談なので、他の方法もたくさんあるとは思いますが、こんな方法もあるのか、という感じでご覧いただけると幸いです。
》第1話 「出張専門(分娩なし)開業について」はこちら
》第2話 「助産師賠償責任保険の加入について」はこちら
》第3話 「施設探しについて」はこちら
》第4話 「入居から内装完成まで」はこちら
》第5話 「開業届提出から立入検査まで」はこちら
》第6話 「ホームページ作成など」
今回は第6話。
助産師が完成し開業届提出も完了。あとは経営を軌道にのせるため、助産院の存在を知ってもらう必要があります。そのためにホームページを作りたいと考えました。ホームページはお店の顔ですし、それがあるとないでは、信頼度も変わってくるかなと思ったからです。
とはいえ私はもちろんホームページ制作のスキルはありませんし、外注するにしても、いったいなにをどうやって、どこに頼めばどんなものができあがるのか、さっぱりわかりません。
物件が決まった3月中旬からホームページについて考え始め、得意のネット検索で情報収集。
その結果たどり着いたのは、ホームページを自分で作るという結論です。
ホームページを自作すると決めた理由
自作しようと思ったいちばんの理由は、いつでも自由に自分のタイミングで修正できるから。自分で作ることができたということは、ホームページの構造を理解できているということで、そうなると更新作業も楽々できるはず。
せっかくホームページがあるのに情報が古いままストップしていると「え、ここって今も営業してる?」と相手を不安にさせますし、そうなると逆にお客さんを遠ざけてしまう恐れがあります。
さらに「ホームページを直したいのに、連絡してもなかなかやってくれない!」という話を、業者さんに作成依頼した知人から聞いたこともあったので、人の手を借りなければホームページをさわれない状態は避けたいと思いました。
業者さんに頼むにしても、載せる文章や写真、ロゴなどは自分で用意しなければならないらしく、それも含めて依頼となると金額がとんでもなく跳ね上がってしまうこと、そんな大金を払ってお願いしても気に入るものができる保証はないこと、気に入るものを作ろうとしたらやはり自分も時間や頭を使わなくてはいけないことなど考えると、もう自分で作るのがいい!ということに。
写真とロゴは自分で作る気にはなれなかったのでプロにお任せするとして、ホームページは自作、という方針に決めました。
情報収集
ホームページを自作するとなると「ワードプレス」がいいらしい、という情報を信じ、その方向で検索を開始。
この本を読みながら、3月末にドメインを取得、ワードプレスを開設しました。
開設までは簡単なのですが、問題はそこから。
どういうホームページにしたいのか、どんな内容をどこに書くのか、というようなことが決まらないと、どうにも前に進むことができません。
頭の中だけで考えていてもまったく進まないので、とにかくたくさんのホームページを見て、自分はどういう情報を載せたいのかを考えていきました。助産院や病院だけではなくて、美容室とかパン屋とかコーヒー屋とかお菓子屋とか、自分が見ていて明るい気持ちになれるものを主に参考にしていました。
なんとなくの構成が決まったら、本を読みながらページを作っていきます。本で足りない部分はネット検索。ワードプレスはたくさんの人が使っているから、検索すれば大体の解決策が出てくるので、ひとり孤独にパソコンをいじっていてもその奥に必ず助けてくれる人がいる安心感を感じながら作業することができました。
それでもゼロからホームページを作る作業は大変で、大体の形ができたのが5月後半。3月末にドメインを取得してから完成までに、2ヶ月かかったということになります。
ロゴ制作、写真撮影、ホームページ完成
せっかくホームページを作るなら自分で作ったロゴや写真じゃなくて、ちゃんとしたものを使いたいと考えていました。でも、ちゃんとしたロゴや写真て誰にどうやって依頼するの?金額は?
いろいろ謎すぎます。
ロゴについては、助産院とは関係ない分野で開業している知人のロゴがステキだったので、その会社を紹介してもらうことにしました。4月上旬に依頼するとすぐに動いてくれて、ゴールデンウィーク前にはロゴが完成。
しかし写真に関しては、しばらく検索してもどうすればいいのか答えが出ず、途方に暮れていました。そんなある日お花屋さん特集の雑誌を見ていたら「写真家」という文字が目に飛び込んできました。とある写真家さんが、私の助産院の近くにあるお花屋さんを紹介していたのです。
近所のお花屋さんの常連ということは、この写真家さんもご近所なんじゃないか。この雑誌に載っている写真家さんなら、素敵な写真を撮ってくれるに違いない。すぐにその方に連絡し、写真を撮ってもらう約束ができ、撮影は5月下旬となりました。
撮影日が決まったということは、ホームページの仕上がりイメージを明確にしておかないといけません。どのページにどんな写真が必要なのかが決まっていないと、当日ぼんやりした依頼しかできず、結果見当違いな写真が出来上がってしまいます。ホームページを見直しつつ、考えを煮詰めていきました。
撮影日は、トップページにスライドショーで院内写真を入れたいこと、授乳相談、沐浴、だっこを連想させる写真を撮りたいことを伝え、1時間ほどで撮影終了。当日中にデータを受け取り確認すると、素敵な写真に仕上がっていました。プロの仕事はすごいです。すぐにホームページに写真を入れ込み、ホームページはひとまず完成!
苦労の末に完成したホームページ。直したい部分もあるけれど、これ以上は難しそう。↓
かかった費用は、写真とロゴ作成、サーバー使用料で11万5千円くらい。ほとんどが写真とロゴの金額なので、自分で写真を用意できますとか、ロゴは必要ありませんという人は、こんなにお金はかからないです。
今後は維持費としてサーバー使用料が毎年1万3千円ほどかかります。この金額も会社によって違うので、お好みのところを選ぶといいと思います。
宣伝あれこれ
ホームページ以外にも、宣伝のためにやったことを紹介します。
グーグルマイビジネスの登録
Google検索をかけるとマップにお店情報が出てくるのなんだろう?と思っていたら、Googleマイビジネスというものだと知りました。その存在には4月頃には気づいていたけど、「まだ準備ができてないのに、Googleマップに表示されてお客さん来ちゃったら困るし」とか考えて、お客さんを迎える準備が整ってから登録すればいいやと後回しにしていました。これが失敗。いざ手続きを始めたら、登録には2週間かかることが発覚!そもそも開業当初は誰も来ないし、早めに登録してもなにも問題なかったなと思いました。
公式LINE
電話予約だけにしようかと思っていたけれど、施術中は電話に出ることができないし、利便性を考えるとLINEでやり取りできるといいです。調べるとLINEのビジネス用アカウント「LINEビジネスID」というものがあり、開業から少しして、登録・運用を開始しました。
Instagram、Facebook
個人的にインスタやフェイスブックはあまり使わないのですが、院の雰囲気など伝えるのにあった方がいいかなと思い、ビジネスアカウントを作りました。
名刺、チラシ作成
「名刺は作った方がいい」とアドバイスを受けていたので、開業してすぐに作成。一緒にチラシやハガキ、ショップカードも作りました。作成したのはビスタプリントというところで、自分でデザインを考えて依頼することができ、お値段もお手頃。(しかしこの会社は無くなってしまい、いまはパプリというショップを利用しています。)
色々作った結果、チラシは不要だったなと思っています。配っても反応がないですし、そもそも「チラシの投函一切お断り」みたいな注意書きがあるところが多く、悲しい気持ちになってしまった記憶が…。
あと、良かれと思ってメニューや料金、営業時間などを記載したのですが、やっていく中で営業形態を変更していったため情報が古くなってしまい、シールを貼って訂正する手間がかかってしまったりしたので、必要最低限の情報にとどめておけばよかったと思いました。ホームページを適宜訂正しているので、チラシやショップカードには住所とホームページのQRコードくらいで十分だったと思ってます。
オンライン決済導入
助産院は自費診療で金額が安くはないので、支払いにクレジットカードが使えた方がいいだろうなと思いました。調べた結果、私はオンライン決済サービスのスクエアを導入。
店舗でレシートを出したかったので、いくつかある端末の中からスクエアターミナルを購入しました。
見た目もステキだし、レシートも出せるし、クレジットカードだけじゃなく電子マネーも使えて、請求書なども作れて、他にもいろいろな機能があり、スクエアにしてよかったです。私はレシートを出したかったことと、店舗では端末で決済したかったので端末購入代金がかかりましたが、訪問だけの方やすべてオンライン上で決済するという方は端末は必要ないです。その場合、無料の会員登録さえすれば初期費用0円固定費0円でサービスを使うことができるので(決済のたびに手数料はかかりますが、これはどのオンライン決済でもそう)、登録しておいて損はないかなと思います。
ここまでできて、なんとかカタチになったな、スタートラインに立てたな、という気持ちになることができました。
形ができたら、あとは微調整を加えつつ、走り続けるだけ。助産院をなるべく長く、自分がおばあちゃんになるまで続けていくんだ!という決意を胸に、目の前の仕事に取り組んでいくのみです。
*
ここまでお読みくださった皆様、お付き合いいただきありがとうございました。
開業までの手順はなんとなく伝わったでしょうか?
私自身本当に世間知らずで、今回の開業で、知らないことが山ほどあると思い知らされましたし、これらをなんとかやり遂げることができたことは、大きな自信にもつながったと思っています。
少しずつ開業する助産師は増えてきている印象ですが、地域で助産師によるケアが行き届いているかというとまだまだだと感じています。
私の体験談が、誰かのお役に立てると幸いです。
*
開業サポートやってます。必要な方はこちらからどうぞ↓
コメント