助産師として開業する場合、「乳房ケア」を提供しようと考える人は多いのではないでしょうか?
私が開業しようと思ったきっかけも「退院後に継続して授乳相談できる場所が少ない。じゃあ自分で作ろう!」という思いでした。
乳房ケアを始めるときに意外と悩むのが、タオルや手袋などの物品と、その運用方法です。
開業当初は布タオルを使い、毎日手洗いを繰り返していました。その後、使い捨てタオルへ変更し、訪問時の物品や衛生管理の考え方も少しずつ変わってきました。
この記事では、開業から5年間の試行錯誤と、現在の乳房ケアで使っている物品・運用方法をご紹介します。
タオルや手袋などの物品だけでなく、施術ベッドや室温管理なども、この6年間で少しずつ見直してきました。施術スペースづくりについては、こちらの記事で紹介しています。

そもそも、タオルをどうするか問題
まず前提として、私の乳房ケアスタイルは「〇〇式」などの特定の流派ではなく、これまでの経験をもとに自分なりに組み立てています。
最初に就職した病院には母乳外来があり、月に数回担当していました。その後勤めた産後ケア施設も母乳ケアを行なっていましたが、どちらも「しっかりした研修を受けて独り立ち」というより、「経験年数もあるし、あとは自分でやってね」という雰囲気でした。
そのため、開業するときも「このやり方が正解」というモデルはありませんでした。
まず悩んだのが、タオルをどうするかです。
母乳外来の中には、最初にタオルを1枚渡し、それを毎回持参してもらうところもあるようです。でも、母乳がついたタオルの洗濯は本当に大変だし、使用済みタオルを持って帰るのは、自分だったらちょっと嫌だなと。
そこで開業当初は、院内でケアする場合はタオルはこちらで用意し、出張の場合は利用者さんに用意していただくことにしました。
タオルとの格闘
開業〜4年目まで:ひたすらゴシゴシ手洗い期
人前で胸を出すことは、多くの人にとって抵抗があります。
なので、なるべくリラックスしてケアを受けてもらえるよう、ケアしていない乳房はタオルで隠したいと思いました。と同時に、枚数が増えれば増えるほど洗濯が大変なので、最小限のタオルで、でも役目を果たすにはどうすればいいのか考えました。
その結果採用したのが、ロングタオルを半分に切って、片胸1枚ずつ使う方法です。
このタオルを半分に切って、端をミシンで縫いました。そうすると、片胸を覆うには十分だけど、長すぎないので無駄がない。
「母乳の色を見るために白いタオルがいい」とも聞きますが、母乳の色はタオルに染み込ませなくても目視で見えるので、シミが目立ちにくくて院内の雰囲気にも合う生成りとベージュを使っていました。
背中側は、無印良品のワッフルバスタオル大判を2つに切ったものを敷くとちょうどいいサイズ。
切って縫ってはちょっと手間でしたが、一度作ればしばらく使えるし、毎回大きいサイズのバスタオルやロングタオルを洗濯することを考えると、少しでも布が小さくなるなら必要な手間だと思いました。

問題は洗濯です。
母乳って本当に落ちづらくて、洗濯機を信用しきれない私は、毎回ゴシゴシ手洗い。
使用済みタオルは水を張ったバケツにとりあえずポイ。仕事終わりにまとめて牛乳石鹸でゴシゴシ洗ってゆすいでを2〜3回繰り返してから脱水して干していました。それでも干している中に生臭いタオルが混ざっていて、取り除いて酸素系漂白剤で消臭。
この運用を4年ほど続けていました。
5年目前半:真っ白タオルへ変更
タオルの洗濯大変だな、生臭いタオルとそうじゃないタオルの違いはなんだろうなど考えながら過ごしていたとき、とある先輩助産師に師事することになりました。
そこで使っていたのが、真っ白なフェイスタオルとバスタオル。使用済みタオルをそのまま漂白液にドボンと入れ、1〜2時間つけおきしたのち軽くすすいであとは洗濯機にお任せ。
手間の少なさに感動し、すぐに白タオルを購入。
バスタオルも、ちょうどいいミニサイズを楽天で発見。安いけど結構ふわふわしています。
母乳がついたまま漂白して意味あるの?とちょっと疑問だったので、手順を変えて以下の運用に。
- アルカリウォッシュ溶液に浸す
- 台所用洗剤で母乳を洗い落とす
- 30分〜1時間漂白
- 濯ぎ、脱水
- 干す
この運用で「ゴシゴシ洗い」の時間が劇的に短縮。さらに漂白剤のおかげで、生臭いタオルとサヨナラすることができました。
カッコつけて色付きタオルなんか使わないで、最初から白いタオルにしてガンガン漂白すればよかったーと思いました。
台所洗剤を使っていたのは、この時期乳房ケアに「オイル」を使うことが多かったためです。これ以外にもアラウを使うこともありました。
5年目後半:使い捨てタオルへ
漂白で今までよりは洗濯の負担は減ったものの、仕事終わりにタオルを洗うのは大変な作業でした。洗うのも大変だし、漂白を待ってる時間もある。洗濯のせいで、なんだかんだ1時間半〜2時間ほど拘束されます。
この頃になると自営業にも慣れてきて、自分の時間の価値を以前より強く意識するようになっていました。
「私、毎日2時間も何やってるんだろう。この作業がなければもっと早く帰れるし、その時間を建設的なことに使えるのに、、、」
急に、洗濯がとんでもないコストに感じました。
タオルの買い換え費用、洗剤、漂白剤、水道代、ガス代、電気代がかかっている。さらに、何より大事な自分の時間。この作業、絶対にいらないじゃん!
そこで完全ディスポ化を決行。
まずビニールを敷いて、

その上に使い捨てのバスタオル。胸にかけるのは使い捨てのフェイスタオルを2枚。

この他に、最後の拭き取り用に使い捨てフェイスタオル1枚をタオルウォーマーで温めてあります。
ケアが終わったら下のビニールごとくるくるっと丸めてゴミ箱にポイ。終わり!
コストは1人分170円〜200円くらいです。この金額であの洗濯作業から解放されるなんて。
ディスポにしたことでもう一つ良かったことは、訪問先でタオルを借りなくて良くなったこと。母乳タオルの洗濯の大変さは、身をもって知っています。
使用済みタオルを置いて帰るのが毎回心苦しかったのですが(かといってタオル持参で私が使用済みタオルを持ち帰るのも何か違う)、小さいビニール袋に下敷き用ビニール、バスタオル、タオル2枚、手袋を入れて持っていき、使用後は袋に戻してしっかり口を結んで帰宅してゴミ箱にポイ。
いろいろと、清々しいです。
使い捨てバスタオルはこれを三等分にカットして使っています。
フェイスタイルはこれ。普通のタオルに比べると肌触りはちょっとアレですが、吸水性バッチリで使いやすいです。
下に敷いているビニールは、45Lのゴミ袋を4つにカットしたもの。どんなものでもいいけれど、持ち手がないやつがいいです。
その他の装備について
タオル問題の他にも、乳房ケアで現在使っているものを紹介します。
手袋
お勤め時代の母乳外来では、素手でケアをしていました。
当時の病院でも「体液を触るときには感染対策を」が当たり前の時代だったけど、母乳は別枠だったのでしょう。皆がそうしていたので、私も特に疑問を持つこともなくケアしていました。
開業した時にふと、「母乳も体液では?素手はいかがなものか」と思うようになり、手袋を使用するように。
ゴムアレルギーの人もいるかもしれないので、プラスチック手袋粉なしを使っています。
手袋があると細かい詰まりなどわからないのでは?と思う人もいるかもしれませんが、慣れればほとんど気になりません。手袋をしていても血管が探せるのと同じです。
メガネ
母乳は気をつけていても絶対に飛んできて、時には眼球にも入ってきます。私は気持ち程度の防御ですが、ケアの時にはメガネをかけています。
普通のメガネだと上から母乳が入ってくることがありますが、花粉用メガネは結構ガードしてくれます。
ガウン
ガウンまで使い捨てにするとコストがかかるので、私は無印の割烹着を着ています。
着ていないとやっぱり服やズボンに母乳が飛んできて「あっ!母乳がついた!」と気が散ってしまうので、集中するためにも何かしらの防御は必要だと思います。
母乳を派手に飛ばすスタイルのケアなら、もう少し対策が必要かもしれません。私は「母乳=体液」と考えているので、そもそも「なるべく飛ばさないケア」を心がけています。それでもどうしても飛んでしまったものは、これらの対策で防御している感じです。
タオルウォーマー
もともとはケアしていたタオルの乾いた部分でさっと拭き取って終わりにしたり、ときにはお尻拭きをお渡しして自由に使ってもらったりしていました。
出てきた母乳のほとんどは胸にかけているタオルに染み込ませていたので、そこまで母乳まみれになることもなく、この運用でもとくに問題なくやれていました。
しかしケア方法を見直した際、最後に温かいタオルでキレイに拭き取りができると気持ちいいなと思うに至り、タオルウォーマーを購入。毎日予約人数分のタオルを濡らしてセットしています。特に冬場は、暖かいタオルがとても好評です。
普通のフェイスタオルを使っていた頃は中までしっかり温まるまでに2時間以上かかっていましたが、使い捨てタオルは薄いので、30分もあればホカホカ。
まとめ
開業当初から振り返ると、物品も運用方法もずいぶん変わりました。
たぶん、数年後にはまた違うやり方になっているかもしれません。そのときの自分が「これが一番合理的」と思える方法を、その都度取り入れていきたいと思っています。
また変化があったら、この記事に追記していきたいと思います。

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